ハワイ不動産の減価償却、個人と法人どちらが得?簡便法・見積法を宅建士が検証
アロハ!sasshi(サッシ)です!
先日、ハワイ不動産のオンラインセミナーに参加してきました。国内不動産とハワイ不動産を比較するという内容だったのですが、その中で一つ、わたしの耳に強く残った言葉があります。
「見積法(みつもりほう)」です。
海外不動産を使った節税は、2020年の税制改正で終わった。わたしはずっとそう理解していましたし、このブログでもそう書いてきました。ところが登壇者の方は、こう説明したのです。「見積法という方法を使えば、個人名義でも所得税対策のご案内ができます」と。
本当にそんな抜け道があるのでしょうか。宅建士として、そして2029年にハワイでコンドミニアムを買うことを目標にしている一人の投資家として、これは確かめておきたい。そう思って、条文まで遡って調べ、さらに自分の購入予算に当てはめて電卓を叩いてみました。
結論から言うと、スキーム自体は合法で、条文にもきちんと書かれている正規のルートでした。ただしわたし自身は、使わないという結論になりました。
なぜそうなったのか。同じようにセミナーで「見積法」という言葉を聞いて心が動いた方に、わたしの計算過程をそのままお見せします。

おさらい|2020年の税制改正で封じられたもの
まず前提の整理からです。
かつて富裕層の間で流行した節税スキームがありました。海外の中古不動産を買い、日本の税法上の短い耐用年数で多額の減価償却費を計上する。すると不動産所得が赤字になるので、それを給与所得と相殺(損益通算)して所得税の還付を受ける、というものです。
とくに有名だったのは、アメリカの中古木造住宅です。木造は耐用年数が短く、築22年を超えていれば4年で一気に償却できたため、効果が劇的でした。ただし、このスキームは木造に限った話ではありません。鉄筋コンクリート造のコンドミニアムでも、同じ理屈で使われていました(木造ほど短くはならないぶん、効果はマイルドになります)。
これが2020年(令和2年)の税制改正で、個人については事実上封じられました。租税特別措置法41条の4の3、通称「国外中古建物の特例」です。
この特例に引っかかると、国外不動産所得の損失は「なかったもの」とみなされます。給与との損益通算はもちろん、国内の不動産所得との内部通算もできません。
ここまでは、多くの記事に書かれている話です。わたしも過去記事でそう説明しました。

実は、耐用年数の決め方には3つの選択肢がある
ではなぜ「見積法なら大丈夫」という説明が成り立つのか。ここを理解するには、中古物件の耐用年数の決め方が一つではないことを知る必要があります。
実は3つあります。そして多くの解説記事は、このうち2つしか紹介していません。
①簡便法|計算は簡単、でも個人は通算できない
いちばん有名なのがこれです。法定耐用年数を全部過ぎた中古資産なら、法定耐用年数 × 20% で計算します。
木造(店舗用・住宅用)の法定耐用年数は22年ですから、築22年を超えた木造なら 22年 × 20% = 4.4年 → 4年。たった4年で建物価格の全額を経費にできてしまう。これがかつての節税スキームの心臓部でした。
ここで一つ、意外に知られていないことを。条文上、簡便法は「使用可能期間の年数を見積もることが困難なとき」に使える代替手段という位置づけです。本来の原則は、次にご紹介する見積法のほうなんですね。
そして特例が真っ先に狙い撃ちにしたのが、この簡便法です。個人が簡便法で計算した国外中古建物の損失は、問答無用でなかったことにされます。
②見積法|鑑定士に「あと何年使えるか」を出してもらう
セミナーで紹介されたのがこちらです。不動産鑑定士に物件を評価してもらい、「この建物はあと何年使えるか」という残存年数を算出してもらう方法です。
ここが今回いちばん驚いた点なのですが、見積法も、原則としては特例の対象です。ただし条文には続きがあります。使用可能期間が適切であることを証する書類を添付した場合は、対象から外れるのです。
では「証する書類」とは何か。租税特別措置法施行規則18条の24の2に、ちゃんと列挙されています。
- 建物の所在国の法令に基づく耐用年数であることを明らかにする書類
- 不動産鑑定士(または外国の同等の専門家)が使用可能期間を見積もったことを証する書類
- 上記が困難な場合、取引の相手方や媒介業者による見積年数を証する書類
2つ目、まさに鑑定書のことですよね。
つまりこのスキームは、誰かが見つけた抜け道ではありません。最初から法律に書いてある、正規のルートだったのです。

セミナーでは「他社ではやっていない当社ならではの方法」と説明されていました。でも施行規則に手順まで書かれている以上、独自のスキームではありません。ここは営業トークとして少し割り引いて聞いた方がよさそうです。
ただ、「法律に書いてある正規ルート」だからといって、簡単に通れる道とは限りません。この点も税理士の先生に聞いてみたのですが、返ってきたのは意外なほど慎重な答えでした。
先生の周りで実際にこの見積法をやり切った投資家は、ほとんどいないというのです。理由は2つ。①鑑定レポートの費用に見合うだけの効果が出るのか、そして②責任を持って見積耐用年数のレポートを作ってくれる機関・専門家を見つけられるのか。この2点で、多くの人が入り口で断念してしまう。提出したレポートを税務署がすんなり認めるのか、細かい指摘が入るのか――その事例すら、まだ十分に蓄積されていないそうです。
そのため、個人での見積法にこだわらず「法人で買う」に切り替える人も多いとのこと。この特例はあくまで個人の所得税の話なので、法人が買えば従来どおりの中古耐用年数(=簡便法の短い年数)がそのまま使えるからです。セミナーで木造タウンハウスの試算が「法人・簡便法」で示されていたのも、つまりはそういう事情なのだと腑に落ちました。
つまり見積法は、条文の上では確かに開いている扉。でも、実際にくぐろうとすると重い扉なんですね。

③法定耐用年数|あまり語られない3つ目の選択肢
ここで一つ、調べていて気になったことがあります。
中古資産の耐用年数の規定(耐用年数省令3条1項)は、「前二条の規定にかかわらず、次に掲げる年数によることができる」という書き方になっています。「前二条」とは、別表で定められた法定耐用年数のこと。つまりこれは選択規定であって、義務ではありません。
ということは、この規定を使わなければ原則である法定耐用年数が適用される――中古物件でも法定耐用年数で償却できる、と読めます。
そして特例の対象になる「国外中古建物」の定義は、簡便法か、書類添付のない見積法で算定したもの。この列挙に、法定耐用年数は入っていません。
ということは、法定耐用年数で償却すれば特例の外――そう読めるのですが、ここは断定を避けます。
わたしが調べた範囲では、この点を正面から明示した国税庁の文書は見当たりませんでした。そこで、現役の税理士の先生にも確認してみました。
返ってきたのは、こういう趣旨のお話でした。条文の記載通りに解釈すれば「法定耐用年数より長い年数はないのだから、損益通算は認められる」と読める。ただし、法定耐用年数を使うと、そもそも海外不動産の所得が単体で赤字になりにくい。仮に赤字になったとして、その損益通算が必ず認められるとまでは言い切れない――。条文に明確な記載がある論点ではない、ということです。
そして印象的だったのが、こういう解釈が曖昧な案件では、税理士は納税者本人と一緒に税務署へ足を運び、実名で相談して確認するのが通常だ、というお話でした。プロでも、机上の条文解釈だけで走らない領域なのです。
ですので、ここは条文の構造からの推論であって、確立した実務ではないとお考えください。使うのであれば、必ずご自身の税理士に相談してから、が大前提です。
それに、仮に読み方が正しかったとしても、実益は限定的かもしれません。RC造の法定耐用年数39年で2,000万円の建物を償却すると、年間わずか約51万円。現金で購入するなら、この程度の償却で不動産所得が赤字になることはまずありません。通算できる権利があっても、通算する赤字が生まれないわけです。

ローンを組めば支払利息が乗るので赤字になり得ます。「現金で買うか、ローンを引くか」で、この議論が成立するかどうかが変わってきます。
ただ、この3つ目の選択肢は「見積法の価値を測るときの物差し」としては、とても重要です。比べる相手を「簡便法の4年」にしてしまうと、見積法の効果を何倍も過大評価してしまいます。正しい比較対象は法定耐用年数であり、その差額こそが、鑑定費用を払う対価なのですから。
コンド派は、そもそも計算が変わります
さて、ここからが本題です。
セミナーで「税対策におすすめ」として紹介されていたのは、郊外の木造タウンハウスでした。1億円の物件で、土地2割・建物8割。建物8,000万円を4年で償却すると年間2,000万円――たしかにインパクトのある数字です。
ただ、この試算は法人が簡便法を使うケースとして説明されていました。法人には41条の4の3は適用されないので、これ自体は正しい。問題は、この数字を見た直後に個人向けの見積法の話に移り、見積法だと何年になるのかが最後まで示されなかったことです。
そしてわたしのようにコンドミニアム一択で考えている人間には、そもそも前提が違います。
| 木造タウンハウス | コンドミニアム(RC造) | |
|---|---|---|
| 法定耐用年数 | 22年 | 39年(ホテル用)/47年(住宅用) |
| 簡便法(全部経過) | 4年 | 7年 |
| 鑑定なしの選択肢 | 法定22年 | 法定39年 |
鉄筋コンクリート造は、木造の倍近く長持ちする前提で税法ができています。木造の「4年 vs 22年」という劇的な差は、コンドでは生まれません。
自分の予算で電卓を叩いてみた
では実際、いくら得をするのか。わたしの検討条件で計算してみます。
減価償却による節税の正体は、税率の差です。給与と通算するときは高い税率(課税所得1,800万円超なら所得税40%+住民税10%=50%)で税金が戻り、売却するときは低い税率(5年超保有の長期譲渡なら20.315%)で払う。この差の約29.7%が、実質的な利益になります。
そして忘れてはいけないのが、費用です。セミナーで示された相場は初年度に鑑定書と税理士費用で30万円前後、2年目以降は毎年7万円程度。6年保有なら合計65万円かかります。
この費用を差し引いた、見積法の純メリットがこちらです(建物比率85%、6年保有、限界税率50%、長期譲渡で試算)。
| 物件価格 | 鑑定15年 | 鑑定18年 | 鑑定25年 | 鑑定30年 |
|---|---|---|---|---|
| 2,300万円 | +78万円 | +39万円 | △15万円 | △38万円 |
| 3,000万円 | +121万円 | +71万円 | ±0万円 | △30万円 |
| 5,000万円 | +246万円 | +162万円 | +44万円 | △7万円 |
| 8,000万円 | +432万円 | +297万円 | +109万円 | +28万円 |
この表を見て、わたしは手が止まりました。

効くかどうかは「鑑定で何年出るか」で決まる
さきほどの表をよく見てください。縦(物件価格)より、横(鑑定年数)の方が結果を大きく動かしています。
鑑定が30年と出れば、8,000万円の物件でようやく28万円のプラス。ほぼ何も残りません。逆に15年と出れば、3,000万円の物件でも121万円のプラスになります。
ここに、このスキーム最大の問題があります。
鑑定で何年出るかは、費用を払って依頼するまで分からないのです。
しかも、短い年数が出るほど効果は大きくなりますが、同時に「その見積りは本当に合理的か」と税務署に問われるリスクも上がります。効果とリスクが同じ方向に動く構造なんですね。
ちなみに「築古のコンドなら鑑定で何年くらい出るのか」も税理士の先生に尋ねてみたのですが、これは事例が乏しく、はっきりとは言えないとのことでした。海に近いエリアと内陸、そして物件ごとに老朽化の度合いはまるで違うので、一律に語れない。プロでも読み切れないものを、買う前のわたしが当て込むのは危うい。上の試算表も、あくまで「もし◯年と出たら」という仮定の話として見てください。
そして忘れてはいけないのが、見積法に払う65万円は「償却を前倒しする」ための費用だということ。減価償却で落とせる総額は、どの方法を使っても建物の取得価額そのものです。方法によって変わるのは、いつ落とすかというタイミングだけなんですね。

買い替えを繰り返すなら、初年度の30万円は物件を買うたびに再発生します。回転させる戦略とは、構造的に相性がよくありません。

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見積法より先に知るべき「1月1日の壁」
ここまで数十万円の話をしてきましたが、実はもっと大きな金額が動く論点があります。しかもこちらは、費用も手続きも一切かかりません。
不動産の譲渡所得の税率は、保有期間で倍近く変わります。
| 区分 | 判定基準 | 税率 |
|---|---|---|
| 長期譲渡 | 譲渡した年の1月1日時点で所有期間5年超 | 20.315% |
| 短期譲渡 | 同5年以下 | 39.63% |
ポイントは判定が「売った日」ではなく「売った年の1月1日」だということ。ここを知らないと、とんでもない差が出ます。
たとえば2026年7月に買った物件を、2031年7月に売ったとします。保有期間はちょうど5年。ところが2031年1月1日時点では所有期間4年6ヶ月ですから、短期譲渡で39.63%です。
これを翌年、2032年7月に売れば、2032年1月1日時点で5年6ヶ月。長期譲渡で20.315%になります。
譲渡益が1,000万円だとすると、税額は396万円と203万円。その差、193万円です。
売る時期を1年ずらすだけで、200万円近く手元に残る。鑑定書に30万円払って数十万円を取りにいくより、こちらの方がよほど大きい。実務上は、取得から丸6年を超えるまで待つと覚えておくのが安全です。

買い替え戦略の落とし穴|1031交換は日本人に効かない
もう一つ、買い替えを考えている方に必ず知っておいてほしいことがあります。
アメリカには1031エクスチェンジ(同種資産交換)という制度があります。物件を売って別の物件に買い替える場合、譲渡益への課税を繰り延べられるというものです。「売って、買って、また売って」を繰り返す戦略と、いかにも相性がよさそうに見えますよね。
「日本にも似た制度があったはず」と思われた方、そのとおりです。しかも昔の話ではなく、今も現役の制度です。ただ結論から言うと、ハワイの物件には使えません。
- 特定の事業用資産の買換えの特例(措置法37条)…事業用資産を買い替えたときに、譲渡益の原則80%について課税を繰り延べる制度です。今も使えます(組み合わせの類型ごとに適用期限が異なり、主要な類型は令和8年3月31日までの譲渡が対象)。ただし譲渡資産・買換資産とも「国内にあるもの」が要件。国外不動産は対象外です
- 特定のマイホームの買換え特例(措置法36条の2)…こちらは国税庁の解説に「売ったマイホームと買い換えたマイホームは、日本国内にあるものであること」と明記されています。※適用期限がある制度なので、使う際は最新の期限をご確認ください
構造的に1031にいちばん近いのは、固定資産の交換の特例(所得税法58条)でしょう。ただし要件がかなり厳しいものになっています。
- 1年以上所有した固定資産どうしを「交換」すること(売って買う形は不可)
- 同じ種類の資産で、交換前と同じ用途に使うこと
- 互いの時価の差が20%以内であること
つまり「売却して買い替える」という1031型の使い方はできません。 誰かと物件を直接交換する話になりますから、ハワイのコンドで現実に成立させるのは、相当ハードルが高いと思います。
なお、そもそも国外の資産にこの特例が使えるのかどうか。条文に明示的な国内要件は見当たらないのですが、この点を正面から論じた資料をわたしは見つけられませんでした。いずれにせよ「交換」でなければ使えない以上、1031の代わりにはならないという結論は変わりません。
そして肝心なのがここです。アメリカで1031を使って課税を繰り延べても、日本では通常どおり譲渡所得として課税されます。 しかもアメリカで税金を払っていないため外国税額控除が使えず、日本の税金を丸ごと負担することになりかねません。
加えて、アメリカの不動産は売買コストが日本より重いという現実もあります。ハワイの仲介手数料は平均5.5%前後(慣行として5〜6%)で、これは売主負担。エスクロー費用や譲渡証書税などを合わせると、売却側だけで売却価格の7〜9%というのが一般的な水準です。日本の「売主は3%+6万円」の感覚でいると、出口で足をすくわれます。
ただ、ここは誤解のないように書いておきます。「1割値上がりしないと丸ごと損」という話ではありません。
保有している間は、当然ながら賃料収入が入ってきます。不動産のリターンはインカム(賃料)とキャピタル(値上がり)の合計で見るものですから、売買コストは「キャピタル側から差し引かれる一時的な負担」と捉えるのが正しい。値上がりゼロでも、インカムが積み上がっていれば全体でプラスになり得ます。
本当の問題は、このコストが買い替えのたびに発生することです。6年で7〜9%を負担するということは、ならせば年1.2〜1.5%。毎年の利回りから、それだけ静かに差し引かれ続けているイメージです。回転を速くするほど、この目減りは効いてきます。

「短く持って次に乗り換える」戦略は、機動的で賢そうに見えます。でもアメリカでは出口コストの重さがブレーキになる。長く持つほど、このコストは薄まっていきます。
さらに売却時には、非居住外国人に対する源泉徴収(連邦のFIRPTA、ハワイ州のHARPTA)で資金が一時的に拘束されます。申告で精算されるとはいえ、次の物件の資金計画には影響します。
わたしの結論
長々と計算してきましたが、わたし自身の結論はシンプルです。
個人で、見積法を使う。それは、わたしはしません。
理由を並べると、こうなります。
- コンドミニアム(RC造)は法定39年。木造のような劇的な差が出ない
- 効果を決める鑑定年数は、費用を払うまで分からない。予算規模が小さいほど、この賭けに乗る意味がない
- 鑑定費用は「償却を前倒しする」ための対価。前倒ししても、わたしの予算規模では戻りが小さい
- そもそもわたしは現金一括で買うつもり。借入利息が乗らないと不動産所得は赤字になりにくく、通算する損失自体が生まれにくい
- 税理士でも慎重になり、実名で税務署に相談しに行くような領域。プロが二の足を踏むものに、わたしが独りで踏み込む理由がない
逆に、このスキームが本当に効くのはこういう方だと思います。
- 課税所得が高く、限界税率が50%前後ある
- 物件価格が数千万円以上で、償却の母数が大きい
- 築古で、鑑定の残存年数が短く出る見込みがある
- 頻繁に買い替えず、長く保有する
これらが揃い、さらに費用と責任を引き受けてくれる鑑定機関・税理士を確保できるなら、組む価値は十分あります。決して怪しいスキームではありません。条文に書かれた正規の方法で、条件が合う方には本当に有効です。
ただ、そうでない方が「節税できますよ」という言葉だけで飛びついてしまうと、鑑定費用と手間だけが残ります。
セミナーは勉強になりました。知らない言葉を教えてもらえたこと自体に価値があります。でも教えてもらった内容を、自分の予算と条件で計算し直すところまでが投資家の仕事なんだな、と改めて感じた出来事でした。
あなたがもし同じ言葉を聞いて心が動いたなら、ぜひご自身の数字で電卓を叩いてみてください。答えは人によって変わります。
一緒に、納得のいく不動産を選んでいきましょう。
追記:この記事を書いて、気持ちは「法人」に傾きました
最後に、正直な気持ちを書き添えておきます。今回こうして調べを進めるうちに、わたし自身は「個人ではなく、法人で買おう」という気持ちが、はっきりと強くなりました。
きっかけは、見積法という”開いてはいるけれど重い扉”の存在です。個人でこの扉をくぐろうとすると、鑑定費用も、責任を取ってくれる専門家探しも、そして税務署とのやり取りまで待っている。プロの税理士でさえ慎重になる道でした。
一方で、今回くり返し出てきたのが「法人なら話が違う」という事実です。損益通算を制限する措置法41条の4の3は、あくまで個人の所得税に向けた特例。法人が海外の中古物件を持つ場合には及びません。従来どおりの中古耐用年数——この記事の表でいえば、築古のRCコンドなら簡便法の7年——で素直に減価償却し、事業の利益とぶつけて課税を繰り延べることができます。相談した税理士の先生も「逃げ道として法人購入を選ぶ」とおっしゃっていました。実務家がそちらを選ぶという事実が、わたしの背中を押しました。

ただし、法人は万能の魔法ではありません。設立や維持のコスト(赤字でもかかる均等割、決算や顧問の費用)、現地での申告の手間、そして「減価償却は税金の消滅ではなく繰り延べ」である以上、売却時にまとめて課税される”出口”の問題。さらに別荘として自分でも使うなら、法人が持つ物件を個人が使うことの整理(役員給与などの論点)も出てきます。ここは決して軽くありません。
とはいえ、方向性は見えてきました。次回は「個人か、法人か。わたしはどちらで買うのか」を、今回と同じように自分の数字で電卓を叩いて確かめてみたいと思います。見積法という一つの言葉から始まった調べものが、めぐりめぐって、わたしの購入プランを一歩前に進めてくれました。
よくある質問(FAQ)
Q1. 見積法を使えば、いまでも海外不動産で節税できるのですか?

条文の上では、見積法で鑑定書を添付すれば損益通算の道は残っています。ただし「誰でも得する」わけではありません。効果は物件価格・鑑定年数・ご自身の税率しだいで、場合によっては鑑定費用のほうが高くつきます。まずはご自身の数字で試算を。
Q2. 中古のコンドを、法定耐用年数で普通に償却してもいいのですか?

中古資産の耐用年数の見積りは「してもよい」という選択規定で、義務ではありません。ですので法定耐用年数での償却も考えられます。ただし、その場合に損益通算まで認められるかは条文が明確でなく、税理士でも税務署への実名相談で確かめる領域です。必ず専門家にご確認ください。
Q3. 個人と法人、どちらで買うのが有利ですか?

国外中古建物の損益通算の制限は「個人の所得税」の話です。法人にはこの特例が及ばず、従来どおりの中古耐用年数が使えるため、本格的に節税を狙う方は法人購入を選ぶことが多いようです。ただし法人は設立・維持コストや申告の手間もかかります。
Q4. 現金で買う場合でも、減価償却の話は関係ありますか?

減価償却費そのものは現金でもローンでも計上できます。ただ、現金購入だと支払利息が乗らないぶん不動産所得が赤字になりにくく、「損益通算する赤字」が生まれにくいのも事実。節税を主目的にするなら、この点はよく計算しておきたいところです。
今日のハワイロス処方箋
税金や条文の話が続くと、少し頭が重くなりますよね。こんな日は、目を閉じてハワイの潮風を思い出してリラックスしましょう。わたしがプロデュースしているハワイアンBGMチャンネル「Aloha Reverie」で、心だけでも先にハワイへ。

今日のsasshi’s recommendation
最後にもう一度だけ。この記事の結論を一言でまとめるなら、「個人か法人かも含め、必ず税理士に相談してから」です。とくに法人での購入まで視野に入れるなら、設立の要否から日々の申告、そして”出口”の設計まで、専門家と一緒に詰めるべきことが一気に増えます。ここは、独学や自己判断で走ってはいけない領域です。
「海外不動産や法人の設計に詳しい税理士なんて、どこで見つければ……」と迷ったら、冒頭でも触れた無料の税理士紹介サービスをもう一度。相性のいい先生に出会えれば、この記事で見てきた話も、”自分ごと”の具体的な計画に変わっていきます。👇

あとがき
いかがでしたでしょうか。今回は「見積法」という一つの言葉をきっかけに、海外不動産の減価償却をめぐる税務を、宅建士の視点で条文まで掘り下げてみました。
セミナーで魅力的に聞こえた話も、自分の予算と条件に当てはめて計算し直すと、答えはまるで変わります。わたし自身は「使わない」という結論になりましたが、これは”自分の場合は”という但し書きつきです。
大切なのは、誰かのおすすめを鍵呑みにせず、自分の数字で確かめること。購入というゴールに向けて、こうした知識を一つずつ積み重ねていきましょう。
それでは今日はこの辺で。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

免責事項
本記事は、執筆時点における調査および宅建士としての一般的な見解に基づく情報提供を目的としたものであり、税務・法務上の個別の助言を行うものではありません。日本およびアメリカ(ハワイ)の税制・法制度は複雑で、かつ常に変動します。記載の試算は一定の前提を置いたモデルケースであり、実際の税額は物件・鑑定結果・個人の所得状況によって大きく異なります。減価償却や損益通算、不動産の取得・売却に関する最終的なご判断は、必ずご自身の責任において、国際税務・海外不動産に精通した専門家(税理士等)にご相談のうえ行ってください。本記事の情報を利用したことによるいかなる損害についても、当ブログは責任を負いかねます。詳細はこちら
